工房椅子:少ない介助での円滑な移乗(生活動線づくり)

→手製の足台に移乗用回転盤の用意しました。

介助で立ち上がりができるけれど介助歩行が難しい段階の子どもの移乗場面の自立度を上げることを考えました。

  工房椅子や車いすに移乗する時、立ち上がりができても、そこから方向を変えることができず、その場で介助者が全介助して姿勢を変え座らせてしまうことが多いと思います。

  そこで、移乗介助用回転盤を足台の大きさに合わせ用意しました。使用しない時は足台の下に棚を付け仕舞えるようにしています。

  これにより、本人の自立度が上がるとともに、毎日の移乗行為ので立ち上がり移乗することが、本児の生活世界に意味ある行為として位置づくと考えています。もちろん、介助する側の介護量をも軽減することもねらいです。

 

 工房椅子の座面高は車いすの座面高と同じ高さに設定するとともに、車いすのフットレストをスイングアウト式にし、工房椅子の足台を移乗台とし、車いすから工房椅子へ、工房椅子から車いすへの移乗を容易にできるようにしています。

介助して立ち会ったところの様子です。この姿勢で90°程度回転することで、車いすの座面に円滑に座れる姿勢にすることができます。

  まだ、車いすが完成となっていないため写真はありませんが、容易に想像できると思います。

   回転盤にはトレーニング用のツイストボードを利用し製作してもらいました。

  製作は、工房椅子を含めて有限会社 でんでん工房さんです。

                                                                                         

 

                                                                                          (2020 6)


下肢の工夫 1

生活や活動に応じて容易な装着ができるAFOを考え、POライフ代表の尾田さんに提案・協議し、尾田さんの方で形にしてくれました。

 

先日、主に使用する特別支援学校で自立活動教諭と担任を交え、仮合わせ前評価を行いました。


すでに所有しているOSを脱がずに、その上から装着できるものです。ADフィットAFOの足部を改造したものです。

 

装着も容易ですので、フィッティングの不具合や装着時間も短縮できます。生活や活動に合せて取り外しができるのも利点ですね。(2021.4.27)

 


姿勢保持研究:工房いす編(1)

今回、でんでん工房さんと協議して完成した工房いす(座位保持装置)です。学校で使用するものです。

 

使用する児童が円背・骨盤後傾があることから脊柱伸展が出にくいため、骨盤サポートをしっかりつけ、背張りベルトが背を押さないようにを緩め設定しました。

 

 両上肢の円滑な机上での活動を促すため、背も

たれ部からL字バーを取り付け、レッドコードの応用でゴムベルト肘関節部と前腕を支え持ち上げるストラップをつけています。

 

立ち上がりやすいように、下腿受けは斜めに後方に傾斜させています。

 

骨盤をサポートするベルトとその後側に硬いウレタン製の骨盤受けを設定しています。

 

これでしっかりと骨盤を平面で支えることができ、骨盤の上に体幹が乗り重力と相即するよう背張ベルトを後方に緩め背中を押さないようにし、脊柱を伸のばして座れるようになります。

 

 

骨盤受けです。ウレタン製で黒いカバをつけています。

アームレストはでんでん工房さんのオリジナルの工夫です。

前方が細く、途中が広くなっています。

 

細くすることで子ども自身が移乗時に支えとしてつかまりやすくしたものです。広い面は座った時の前腕受けで肘部分でしっかりと支えることができます。


姿勢保持研究:車いす編(1)

  小学校1年生の脳性麻痺痙直型両まひがある子どもの車いすです。

   自分で車いすから工房いすへのつかまり立ち移乗ができるように座の高さを低く設定しました。

   身長が低いことから、今回は16インチの駆動輪にハンドリムを付けてもらったこと、成長期であることから成長対応ができるフレーム構造としたことから、フレーム変更可能な段階での仮合わせ前チェックをしました。

  もちろん、フットレストはスイングアウト式、骨盤の後傾に対しては骨盤金具を装備し骨盤をベルトでしっかりとサポートできるようにしています。

  小児であっても、全介助ではなく、早いうちからできる力を発揮できる環境設定が必要です。

担当してくれた田村義肢の高橋さん、そして日新の担当者の方、良い出来で感謝しています。

 

 

 


完成しました。取り回しも移乗もスムーズ。これで、現在できる力を使った自立的な生活動線の条件が整いました。